マツバラン

2018年3月執筆

世の中には想像を超える植物があります。その一つに根もなく葉もない植物マツバランがあります。

植物体が茎だけで構成されておりますが、もちろん、光合成により自立した生育をする立派な独立栄養植物です。ご存知の方はよほどの植物通といえるのではないでしょうか。

姫路市内にも丘陵地の岩の亀裂部に生育している希少なシダ植物で、地上茎地下茎とも2又に分岐を繰り返し成長する不思議な植物です。このような草姿から長らく原始的な化石植物の生き残りであると考えられていました。しかし、最近の遺伝子解析により、特殊に分化した種類であることが分かってきました。また、マツバランは江戸時代からの古典園芸で、変化個体を『松葉蘭』として鑑賞の対象でした。当時から野生個体は少なかったので、変化した個体は特に珍重がられ、天保年間には1株が一軒の家と交換されたほどの価値が付いたといわれています。もともと繁殖率が悪く、個体数も少ないゆえ愛好家も少ない園芸であったものが、さらなる栽培者の減少で貴重な品種が消滅しかねないと危ぶむ声も聞かれます。

当園では「古典植物と山野草展」や「シダ展」において今後も展示紹介していき、伝統の詫び寂の世界を堪能してもらいたいと考えています。

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