Utricularia ×japonica Makino

タヌキモ

 

2014 年 8 月

ため池や池沼に浮遊する根のない多年草です。水中葉は平面に羽状様に細かく分かれ、そこに捕虫囊を多数つけ、プランクトンなど水中の微小動物を捕食します。捕虫囊の口にアンテナ状の器官があり、これを動かして微小動物をおびき寄せ、傍にある感覚毛に触れた途端、弁が開き捕虫囊が広がって、水とともに動物が吸い込まれ消化吸収します。黒ずんだ捕虫囊は動物が捕捉されたもので、捕捉前の捕虫囊は透きとおった形状を示します。花茎は7~9月にかけて水中茎から水上に伸ばし、鱗片状の葉をつけ、黄色の花を4~7個付けます。本種の形態から北方系のオオタヌキモ(Utricularia macrorhiza Le Conte)とイヌタヌキモ(Utricularia tenuicaulis Miki)の中間型を示し、両種の雑種起源で、花粉は不稔で結実しないこと、また、胚嚢形成も異常であることが指摘されています。分布域は本州、九州で日本固有種?といわれています。兵庫県では姫路市のため池にわずかな生育地が確認されています。しかし、ほとんどの生育場所で見られなくなっており、絶滅寸前と思われます。兵庫県版レッドデータブック2010のAランク、近畿版レッドデータブック2001のAランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはNTランクに位置する絶滅に瀕している植物で、保護を要します。

当地域にはタヌキモより小型で、本種の交配親とされるイヌタヌキモが広く生育しています。おもに山間部のため池で茶褐色の色をした腐植栄養池に見られます。タヌキモとイヌタヌキモは外観が似ているので現場での同定が困難ですが、殖芽の形状の違いが顕著で、同定のカギになります。タヌキモは秋頃、先端に球状の殖芽を形成し越冬するのに対し、イヌタヌキモは夏ごろから枝軸に楕円状の殖芽をつくります。イヌタヌキモは日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストでNTランクに位置する危惧種です。