Utricularia exoleta R.Br.

 

イトタヌキモ

2014 年 8 月

ミカワタヌキモともいい、山間部のため池や平地であっても自然度の高いため池などの浅瀬域に生育する多年草です。浮遊植物でありながら、湿地生の性質も備え、ミミカキグサ(Utricularia bifida L.)のように湿地で生長し花を咲かす姿も見られます。草姿は貧弱で、ごく細い茎にまばらに葉と捕虫囊をつけます。当地域に比較的見られるイヌタヌキモ(Utricularia tenuicaulis Miki)のような殖芽で越冬せず、イトタヌキモは殖芽を形成せずそのままの姿か切れ藻状態で越冬します。分布は本州(東海地方から近畿地方)、九州、台湾、インド、アフリカ、オーストラリアですが、類似種であるオオバナイトタヌキモ(Utricularia gibba L.)は南北アメリカとアフリカに生育するといわれています。兵庫県では姫路市東部や加古川市、加西市、明石市、加東市、神戸市などに確認されていますが、複数の生育地はすでに絶滅しており、県下における生育地は危険な状況になっていると考えます。兵庫県版レッドデータブック2010のAランク、近畿版レッドデータブック2001のAランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはVUランクに位置する全国的に危機的状況の種類で、早急な保護を要します。一方、同様に減少している種類にヒメタヌキモ(Utricularia multispinosa (Miki) miki)があります。イトタヌキモと同じような環境に生育しますが、兵庫県下では小野市、三木市や加東市などの丘陵地で貧栄養な浅いため池に生育します。ほとんど花をつけることはありませんが、花色は西日本と北日本で異なるといわれ、兵庫県下では西日本型の白からうすピンク色の花をまれにつけます。一方、北日本は淡黄色のタイプです。秋には殖芽をつくり越冬します。兵庫県版レッドデータブック2010のBランク、近畿版レッドデータブック2001のAランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはNTランクに位置する全国的に少ない種類です。