Hypericum oliganthum Franch. et Savat.

 

アゼオトギリ

2014 年 8 月

日当たりのよい田んぼの畦やため池の土手下部などの養分に富んだ砂混じりの粘土質土壌で、適度な排水能力のある湿った環境に生育しています。このような環境は人為的撹乱場所で、草刈などの維持管理が行われているところで、それらの有無が本種の生育に大きく影響することが近年わかってきました。生育箇所でも草刈がされず高茎雑草がはびこるようになるとてきめんに出現しないようになり、一方、草刈が行われると埋土種子による復活が認められるような、消長の激しい種類と考えられます。匍匐する茎はそう生し、分岐を繰り返します。ため池土手では他の植物の成長に伴い、光を求めるために匍匐茎を立たせる性質もあり、高さ40㎝ほどになります。葉は倒卵形または長楕円形で鈍頭、長さ13~25㎜、多少茎を抱きます。縁には黒点が密に並び、裏面は帯白色です。花は茎の先に数花が集まり、花弁は長楕円形で、長さ7~8㎜、黒点と明点があります。蒴果は丸みを帯びた比較的大きいもので長さ6.5㎜、幅5.5㎜ほどです。分布は本州(関東以西)~九州、朝鮮南部で、兵庫県下では最近の調査で上郡町から三木市あたりの播磨に集中しているようで、淡路島や北兵庫の豊岡市、出石町、朝来市などでは今のところ確認できていません。兵庫県版レッドデータブック2010のBランク、近畿版レッドデータブック2001のAランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはENランクに位置する非常に希少な種類です。類似種にサワオトギリ(Hypericum psedopetiolatum R.Keller)があり、アゼオトギリより湿った環境を好み、山地の水が浅く流れているところや湧いているところ、また、山間部の田んぼ畔に生育しており、匍匐する形態はアゼオトギリに似ています。違いはサワオトギリが葉の基部は狭まり柄のようになって茎につくこと、花は小さく、蒴果も比較して小さい傾向にあり、秋に紅葉するところです。