Trapella sinensis Oliver

ヒシモドキ

 

2014 年 9 月

ため池や湖沼、水路などに生育する一年生の水草です。水面に浮かぶ浮葉植物で、長く伸びた茎で広がります。渇水時には陸生形となり、ヒルムシロ(Potamogeton distinctus A.Benn.)などと同様、顕著な異形葉とは言えないまでも肉厚でしっかりした葉を展開する水生、湿生の両生植物といえます。節から対生葉と根を出し、葉は沈水葉と浮葉があります。沈水葉は長さ12㎝、披針形で薄く、浮葉は三角状円形から腎円形で長さ1.53㎝、幅1.54㎝、浅い鋸歯があり裏面は赤くなります。花は開放花と閉鎖花があり、ほとんど開放花は見られず、閉鎖花で繁殖します。開放花は葉腋から2㎝ほどの花柄を伸ばし、淡紅色で長さ22.5㎝の筒状で先は5裂し、裂片は円い形状の1花をつけます。閉鎖花は葉腋に無柄またはごく短い花柄に細長いつぼみ状でつきます。果実はがく筒が長く伸び、長さ1.22㎝の下部が狭まった円柱形の堅果となり、がく片が生長した長さ26㎝の35本の細長い刺状突起がつき、その先は内向きに曲がる独特な形状を示します。種子は1個で細長く4稜があります。分布は北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国で、兵庫県での記録は西播(福岡ほか:兵庫県産維管束植物7)ですが、かつて確認した加古川市にあるため池は埋め立てで見られなくなり、今や西播に1か所現存するのみとなりました。兵庫県版レッドデータブック2010のAランク、近畿版レッドデータブック2001のAランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはENランクに位置する非常に希少な種類です。

ヒシモドキはヒシモドキ科の1属1種となっていますが、ゴマ科として扱われる場合もあり、ここでは生殖器官が著しく異なることから別の科として扱うのが適当と考えました。