Dendranthema occidentali-japonense (Nakai) Kitam.


ノジギク 

2014 年 11 月

西日本の海岸近くの崖や石垣など、よく日の当たるところに生育する多年草で、日本の固有種です。地下茎を伸ばし増え、地上茎は斜上し基部は倒れて上部は多くの枝を出します。葉は広卵形で、長さ35㎝、幅2.54㎝の5中裂または3中裂し、基部は心形、ときに切形となり、裏面は丁字状の毛が密にあり灰白色になります。花は1011月に径34.5㎝の頭花を多くつけ、散房状に並びます。舌状花は白色で、のちに淡紅色となります。まれに淡黄色の個体もあります。分布は兵庫県以西で四国、九州で、おもに瀬戸内海沿い、太平洋沿いに生育しています。高知県足摺岬一帯に、花はやや小さく、葉は3中裂し厚く、縁が白い、裏面に白毛が多く、また、総苞片も白毛を密生する変種アシズリノジギク(Dendranthema occidentali-japonense (Nakai) Kitam.var. ashizuriense Kitam.)があります。園芸種で小菊の品種にノジギクを交配して作出された種類もあります。ノジギクの保護地や公園などに生育、あるいは植栽されている個体に淡黄色や淡赤色のノジギクを見かけます。これらのなかには栽培菊との自然交雑種があり、生育地近くの墓に供えている栽培菊の花粉を昆虫が運び受粉した結果、雑種を形成し遺伝子汚染が生じたと考えられています。したがって純粋な野生のノジギクは失われつつあるようで絶滅が危惧されます。ノジギクの名は植物学者の牧野富太郎が野路に生えるキクの意味でつけたものです。兵庫県版レッドデータブック2010Cランクに位置します。

当地域にはノジギクに似たリュウノウギク(Dendranthema japonicum (Makino) Kitam.)が丘陵地やため池の堤体など、よく陽の当たる痩せた地に生育しています。ノジギクの葉を小さくしたような種類で、茎葉に揮発油を含み、その香りがリュウノウ(龍脳)に似ることから名付けられました。