Psilotum nudum (L.) P.Beauv.

マツバラン
 

2015 年 10月

岩の裂け目や樹幹に着生、あるいは樹下に地生する多年生の常緑植物で、根も葉もない茎だけの特殊な形態を示すシダ植物です。地上茎は高さ10~40㎝で直立あるいは下垂し、2又分岐を複数回繰り返しほうき状になります。無毛で稜があり、鱗片状の突起は稜上につきます。枝の断面は三角状で径1~1.5㎜で単体胞子嚢群を稜状につけます。単体胞子嚢群は胞子嚢群が3個合着して3室となり、ごく短い側枝上に単生し、径1.5~2㎜で熟すと黄色くなります。地下茎は黒く、径1~2㎜で2又分岐を繰り返し褐色の微毛のような仮根を密に生じ、ところどころに地上茎をつけます。兵庫県版レッドデータブック2010の Bランク、近畿版レッドデータブック2001の準ランク、日本の絶滅のおそれのある野生生物第4次レッドリストはNTランクに位置する希少な植物です。分布は本州、四国、九州、沖縄、朝鮮済州島、中国南部から世界の熱帯・亜熱帯で、兵庫県は姫路市、高砂市、たつの市、淡路島に現存します。きわめて単純で原始的な形態を示すため、かつては古生マツバラン類の直接の子孫で、デボン紀の植物の系統が現在まで生き続けているといわれていましたが、最近の分子系統解析から否定されるようになりました。草姿は単純ですが、茎枝が変化に富む個体が出現して江戸時代には多くの品種が選別栽培され、古典園芸として繁栄したことが古文書にも記録されています。日本人の侘び寂びの世界に通ずることから好まれたといえます。