ラン

2018年8月執筆

ラン科は世界中の維管束植物25万種の内、実に一割に当たる25,000種ほどある、と第3回に書きました。本稿は第2弾として究極のランを紹介します。
その名は「リザンテラ ガードネリ(Rhizanthella gardneri)」といい、オーストラリア西部パース市周辺で1928年に発見され、世界中の生物学者を驚かせました。一生を地下で過ごす植物で、高等植物では考えられない生態をしていたのです。ラン科植物は木や岩に着生したり、菌類と共生して葉緑素を放棄したりと不思議な植物の代表ですが、リザンテラが見つかってから、さらに不可解な植物となりました。疎林下でフトモモ科のメラレウカ ウンシナタ(Melaleuca uncinata)が生育する付近に見つかることから両者に関係する何かがあると考えられています。形態もすこぶる奇妙で、葉緑素を欠き、リゾーム(菌と共生した植物体)から直接、薄紫色がかった苞をもち、小さな花の集合体を付けるなど、一般的なラン科の形態と大きく異なります。しかし個々の花は立派にラン特有の花粉塊、ずい柱を形成しています。生育地は限られた2地域のみです。生物学の常識を超えた植物で、受粉は白アリやアリ、小形のハチなどが考えられますが未だ分らず、種子散布も不明で、小型有袋類が果実を食べている様子しか分かっていない、摩訶不思議な植物なのです。

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